令和5年度 いじめ防止基本方針

   

はじめに

本校では、生徒会を中心として、カラフルリボン運動などのいじめ根絶運動を実施している。

市立芝西中学校いじめの防止等のための基本的な方針(以下「芝西中学校基本方針」という。)は、これらの対策を更に実効的なものとし、生徒の尊厳を保持する目的の下、国・埼玉県・川口市・学校・家庭・地域その他の関係者が連携し、いじめ問題の克服に向けて取り組むよう、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第13条の規定に基づき、本校の実情に応じ、本校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものである。

 

第1 芝西中学校基本方針の策定

いじめ防止対策推進法13条(学校いじめ防止基本方針)

第13条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
本校は、法の趣旨を踏まえ、国の基本方針、県の基本方針、市の基本方針を参酌し、本校の実情に応じ、本校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定める。

芝西中学校基本方針では、本校の実情に応じ、いじめの防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、いじめの防止や早期発見、いじめへの対処が、本校において体系的かつ計画的に行われるよう、講ずるべき対策の内容を具体的に記載する。

また、いじめの防止等に係る日常的な取組の検証・見直しを図る仕組みや、本校におけるいじめの防止に資する啓発活動や教育的取組を具体的に定める。

更に、取組の実効性を高めるため、芝西中学校基本方針が、本校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直す、というPDCAサイクルを盛り込む。

具体的には、以下のとおりとする。

ア いじめ防止のための具体的な実施計画や指導体制の策定にあたり、教職員の共通理解を図る。   

イ いじめの防止」、「早期発見」、「いじめに対する措置」に関する具体的な手立てや年間の計画を組織的、計画的に実行する。

ウ いじめに関するアンケート調査の年間3回実施し、その結果に基づき指導にあたる。

エ 生徒を主体とした取組をさらに充実させ、保護者や地域との連携も図る。

  

第2 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項

1 いじめの防止等のために本校が実施する施策

(1)本校におけるいじめの防止等の対策のための組織の設置

第22条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
本校は、本校の実情に応じ、いじめ防止等の対策を実効的に行うための常設の組織として「芝西中学校いじめ問題対策委員会」(以下「問題対策委員会」という。)を設置する。

問題対策委員会は、本校の教育相談部会を母体とし、管理職、生徒指導主任、学年主任、養護教諭等の中から学校の実情により充て、個々の事案に応じて学級担任や部活動の顧問等も加えることができるものとする。

また、問題対策委員会は学校基本方針に基づくいじめの防止等に関する取組を実効的に行う際の中核となる組織であり、必要に応じて心理や福祉の専門家、弁護士、医師、教員・警察官経験者、PTA、地域の方など外部専門家(スクールカウンセラー)等の参加を図りながら対応することにより、より実効的ないじめ問題の解決に資するよう工夫する。

問題対策委員会は、実際にいじめ若しくはいじめと疑われる事案が発生したときの事実確認や重大事態が起きたときの調査をする組織の母体となるものとし、必要な場合には公平性・中立性を確保するため、川口市教育委員会との連携を図り、専門的な知識及び経験を有する第三者として、弁護士、精神科医、学識経験者及び心理や福祉の専門家等の参加を図る。

ただし、川口市教育委員会が本校における調査が困難と判断した場合には、川口市教育委員会の川口市いじめ問題調査審議会による調査を行うものとし、その調査に協力する。

さらに、問題対策委員会では、本校の基本方針の策定及び教職員間の共通認識の促進、保護者、地域への周知、必要に応じた評価と見直しを担う。

問題対策委員会の具体的な役割は、次のとおりである。

 ア 具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正の中核としての役割 

 イ 情報の収集と記録、共有を行う役割

 ウ いじめの疑いに係る情報があった時の対応を組織的に実施するための中核としての役割

  

(2)本校におけるいじめの防止等に関する措置

本校は、川口市教育委員会と連携して、いじめの防止や早期発見、いじめが発生した際の対処等に当たる。

                        

ア いじめの防止

いじめはどの生徒にも起こりうるという事実を踏まえ、全ての生徒を対象に、いじめに向かわせないための未然防止に取り組む。

未然防止の基本として、生徒が規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業づくりや集団づくりを行う。

また、カラフルリボン運動を通して、子供たち自身が「いじめを許さない」という気持ちを持つとともに、子供たち同士が互いに声を出し、行動に示していくなど、自浄作用を高め、いじめを容認させない風土づくりを進めていく。

『きらり川口いじめゼロ中学生サミット』からの「いじめ根絶宣言」や川口市いじめ問題対策協議会からの提言などを踏まえ、全校をあげて、いじめの未然防止、いじめの根絶に取り組む。

また、『ライフスキルかわぐち』を活用するなどして、集団の一員としての自覚や自尊感情をはぐくみ、心の通じ合うコミュニケーション能力を身に付け、いたずらにストレスに捕らわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土をつくる。

更に、川口市人権教育推進協議会発行の『人間であること』を活用し生徒の人権に対しての正しい理解と人権感覚の育成に努めるとともに、教職員の言動が、生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。

 

(ア)教師の言動・姿勢

「いじめの予防」として最も大事なことは「何も起こっていないときの指導の大切さ」である。いじめを未然に防ぐことやいじめが起きたとしても早期に解決が図れるようにするために、教師一人一人が普段の指導について謙虚に振り返る。

  また、いじめられている生徒の立場で指導・支援を行うために、

① 生徒の悩みを親身になって受け止め、生徒の出すサインをあらゆる機会を捉えて見逃さない。

② 自分の学級や学校にも深刻ないじめ問題が発生しうるという危機意識を持って当たる。

③ いじめられている生徒を守り通すことを最優先に指導・支援する。

  いじめに関する事例を分析してみると、教師が直接・間接にいじめを生み出している場合がある。教師がいじめの発生に関わっている場合として、

・ 教師の不用意な一言が「いじめ」の発生を許容している場合

・ 教師の言動が結果的に「いじめ」の発生を許容している場合

・ 教師の指導が徹底されず、「いじめ」の土壌を温存させている場合

  などがあることに十分留意する。

(イ)学級づくり

生徒は学校生活の大半を学級で過ごすため、いじめの発生を防止するには、学級づくりがとても重要であることから、

① 生徒が安心して学校生活を送れるよう配慮する。

・ 生徒の気持ちを共感的に受け止める。(「先生は自分の気持ちを分かってくれている。」)

・ 居場所をつくる。

・ 見守る。(「いつもどこかで先生は見守っている。」)

・ 基準を示す。(「……してはならない。」だけではなく、「こんなときにはこうするといいよ。」)

② 意欲や元気の源になるエネルギーをたくさん与える。

・ 分かる楽しさを与える。(「分かった。」と思えたとき、「もっと分かりたい。」というエネルギーがわいてくる。)

・ 自分のよさや自分との違いのよさを認める。(「これまで気が付かなかった自分や級友のよさを先生が教えてくれた。」)

③ 『ライフスキルかわぐち』の取り組み等を通して、生徒が自分の周りに起こる様々な問題を解決しながら、他者と調和的に生きていくための社会的能力を育てる。

④ 生徒会活動など生徒が自主的に取り組むいじめ問題への取組を支援する。

などのポイントを押さえた学級づくりに学校を挙げて取り組む。

(ウ)学習指導

学業不振やその心配のある生徒は、学校生活に主体的に取り組む意欲を失いがちになり、そのことがいじめ等の問題行動を生む要因の一つとなっている。

逆に、生徒が学習活動の中で学ぶ喜びを味わうことができれば、それが学ぶ意欲につながり、学習活動の中で進んで課題を見つけたり、主体的に考えたり、判断したり、表現したりして解決することを通して、豊かな心やたくましく生きる力を身に付けることができる。

つまり、「学ぶ喜びを味わわせる授業」をすることが、いじめを予防する手立ての一つとなることを学校全体で認識し、授業改善に当たる。授業改善に当たっては、ユニバーサルデザインや特別支援教育の視点も積極的に加味していく。

(エ)保護者同士のネットワークづくり

  いじめの解決には、保護者の働き掛けが大切であり、特に、保護者同士が知り合いだといじめにブレーキが掛かることが多く、保護者同士の親密な関係が重要である。そこで、学級担任等がコーディネート役となり、学級規模で保護者同士のネットワークづくりを進め、いじめを始めとする問題行動等の情報交換や対策について話し合うことなどを工夫する。

  また、PTA活動を通じて、いじめの防止等のための保護者の役割についての啓発を図る。

(オ)インターネットを通じて行われるいじめの防止

  本校では、生徒のいじめ未然防止に向けた『いじめ防止教室』を開催する。

また、インターネット上のいじめに遭遇しないよう埼玉県警サイバー対策課『情報セキュリティ講演』等を活用し情報モラルの徹底を図る。

さらに、生徒の意識啓発とともに保護者の意識啓発に力を入れるため、保護者対象ネット意識啓発講演会等を実施する。

 

イ 早期発見

いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装っ

て行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いことを教職員は認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知することが必要である。

このため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つ。併せて、学校はいじめ調査や定期的なアンケート調査、教育相談の実施等により、生徒がいじめを訴えやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組む。

特に、次の点に留意して、いじめの早期発見に努める。

(ア)「I’s2019」にある「いじめ発見のチェックポイント」を活用し、該当する項目があれば生徒に声を掛け、該当する項目が複数あるときには、生徒指導主任や学年主任に相談する。

(イ)「 I’s2019」にある「いじめの見極めと状況別対応」を参考に、いじめの早期発見に向けた校内体制を確立する。

(ウ)I’s2019」にある「いじめの取組のチェックポイント」を活用し、指導体制、教育指導の在り方、早期発見・早期対応に向けた体制、家庭・地域との連携の在り方について学校を挙げて改善に努める。

 

ウ いじめに対する措置

いじめの発見・通報を受けた場合には、教職員が個人で判断したり、一部の教職員で抱え込んだりすることが無いよう、速やかに組織的に対応し、被害生徒を守り通すとともに、加害生徒に対しては、当該生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。これらの対応について、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関との連携の下で、次の点に留意して取り組む。

(ア)いじめている生徒への指導(「I’s2019」参照)

    いじめの内容や関係する生徒について十分把握し、人権の保護に配慮しながら、いじめが人間の生き方として許されないことを理解させ、直ちにいじめをやめさせる。

    いじめの内容によっては、警察等との連携を図る。

(イ)いじめられている生徒への支援( 「I’s2019」参照)

    「いじめられる側にも問題がある」という考え方で接することのないように留意する。そこで、本人のプライドを傷付けず、共感的態度で話を親身に聴く。また、日頃から温かい言葉掛けをし、本人との信頼関係を築いておく。

(ウ)周りではやし立てる生徒への対応

はやし立てることなどは、いじめ行為と同じであることを理解させる。

また、被害者の気持ちになって考えさせ、いじめの加害者と同様の立場にあることに気付かせる。

(エ)見て見ぬふりをする生徒への対応

いじめは、他人事でないことを理解させ、いじめを知らせる勇気を持たせる。

また、傍観は、いじめ行為への加担と同じであることに気付かせる。

(オ)学級全体への対応

   次の点に留意し、いじめの早期発見、早期対応、早期解消に努める。

・『ライフスキルかわぐち』を活用し、自尊感情をはぐくみ、コミュニケーション能力を身に付けさせ、互いを認め合う人間関係の醸成を図る。

・ 道徳教育の充実を図る。

・ 特別活動を通して、好ましい人間関係を築く。

・ 行事等を通して、学級の連帯感を育てる。

・ 話し合いなどを通して、いじめを考える。

・ 見て見ぬふりをしないよう指導する。

・ 自らの意志によって、行動がとれるように指導する。

・ いじめは許さないという断固たる教師の姿勢を示す。

 (カ)他校の生徒が関わるいじめに関する対応

   本校の教職員が、いじめに係る相談等において他校の生徒が関わるいじめの事実があると思われるときは、当該校への通報その他の適切な措置をとる。

(キ)市教育委員会への報告

   法第23条第2項に基づき、いじめに対する措置の結果を市教育委員会へ速やかに報告する。

     

2 重大事態への対処

(1)重大事態への対処の流れ

 ア 「重大事態」の意味を全関係者が理解しておく。(8ページ以下参照)

 イ いじめを受けて重大事態に至ったという申出が生徒や保護者からあったときは、本校がいじめによる重大事態ではないと考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。

 ウ 重大事態が発生した場合、本校は川口市教育委員会へ事態発生について報告する。

 エ 本校は、問題対策委員会により当該重大事態に関する調査を行う。(個々の重大事態により、専門的知識及び経験を有する当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図る。)

 オ 上記エの調査は、客観的な事実関係を速やかに、正確に把握するための調査である。また、いじめ行為の事実関係を、可能な限り網羅的に明確にするものであり、因果関係の特定を急がない。また、法第23条第2項に基づき、本校として既に調査している事案であっても、重大事態となった時点で、本校は調査資料の再分析や必要に応じて新たな調査を実施する。(ただし、法第23条第2項に基づく調査により事実関係の全貌が十分に明確にされたと判断できる場合は、この限りでない。)

 カ 上記エの調査に先立ち、アンケートにより得られた調査結果は、いじめを受けた生徒や保護者に提供する場合があることを調査対象となる生徒や保護者にあらかじめ説明しておく。

 キ 上記エの調査を行った問題対策委員会は、明らかになった事実関係をいじめられた生徒及びその保護者に適切に提供する。(適時、適切な方法で経過報告、結果報告をする。)

 ク 上記エの調査結果は、川口市教育委員会へ報告する。その際、いじめを受けた生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた生徒又はその保護者の調査結果に対する所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果に添える。

(2)川口市教育委員会又は本校による調査

(学校の設置者又はその設置する学校による対処)

第28条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

一 いじめにより当該学校に在籍する生徒等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

二 いじめにより当該学校に在籍する生徒等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた生徒等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。

3 第1項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。
ア 重大事態の発生と調査

(ア)重大事態の意味について

「いじめにより」とは、各号に規定する生徒の状況に至る要因が当該生徒に対して行われるいじめにあることを意味する。

また、第1号の「生命、心身又は財産に重大な被害」については、いじめを受ける生徒の状況に着目して判断する。例えば、

・ 生徒が自殺を企図した場合

・ 身体に重大な傷害を負った場合

・ 金品等に重大な被害を被った場合

・ 精神性の疾患を発症した場合

などのケースが想定される。

第2号の「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安に関わらず、本校の判断により、迅速に調査に着手する。

また、いじめられて重大事態に至ったという申立てが生徒や保護者からあったときは、その時点で本校が「いじめの結果ではない。」あるいは「重大事態とは言えない。」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。

(イ)重大事態の報告

重大事態が発生した場合、本校は川口市教育委員会へ、事態発生について報告する。

(ウ)調査の趣旨及び調査主体について

法第28条の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行うものである。

本校は、重大事態が発生した場合には、直ちに川口市教育委員会に報告し、本校が主体となって調査を行う。ただし、従前の経緯や事案の特性、いじめられた生徒又は保護者の訴えなどを踏まえ、本校主体の調査では、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと川口市教育委員会が判断する場合や、本校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合には、川口市教育委員会のいじめ問題調査審議会において調査を実施する。

本校が調査主体となる場合、法第28条第3項に基づき、川口市教育委員会との連携を図りながら実施する。

(エ)調査を行うための組織について

本校は、その事案が重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに、その下に組織を設ける。この組織の構成については、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保する。

  また、必要に応じて調査委員会の委員等を教育委員会に相談する。

(オ)事実関係を明確にするための調査の実施

「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、本校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。この際、因果関係の特定を急ぐことなく、客観的な事実関係を速やかに調査する。

この調査は、本校が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものであり、本校は、川口市教育委員会のいじめ問題調査審議会に対して積極的に資料を提供するとともに、調査結果を重んじ、主体的に再発防止に取り組む。

① いじめられた生徒からの聴き取りが可能な場合

いじめを受けた生徒から可能な限り聴き取った上で、在籍生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う際、いじめを受けた生徒や情報を提供してくれた生徒を守ることを最優先とした調査実施が必要である(例えば、質問票の使用に当たり個別の事案が広く明らかになり、被害生徒の学校復帰が阻害されることのないよう配慮する等)。

調査による事実関係の確認とともに、いじめた生徒への指導を行い、いじめ行為を止める。

いじめを受けた生徒に対しては、事情や心情を聴取し、いじめを受けた生徒の状況に合わせた継続的なケアを行い、落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等を行う。

これらの調査を行うに当たっては、国の基本方針の別添「学校における『いじめの防止』『早期発見』『いじめに対する措置』のポイント」を参考にしつつ、事案の重大性を踏まえて、関係機関ともより適切に連携するなどして、対応に当たる。

② いじめを受けた生徒からの聴き取りが不可能な場合

生徒の入院や死亡など、いじめを受けた生徒からの聴き取りが不可能な場合は、当該生徒の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者に今後の調査について協議し、調査に着手する。調査方法としては、在籍生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査などが考えられる。

(カ)自殺の背景調査における留意事項

生徒の自殺という事態が起こった場合の調査の在り方については、その後の自殺防止に資する観点から、自殺の背景調査を実施することが必要である。この調査においては、亡くなった生徒の尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し再発防止策を講ずることを目指し、遺族の気持ちに十分配慮しながら行うことが必要である。

いじめがその要因として疑われる場合の背景調査については、法第28条第1項に定める調査に相当することとなり、その在り方については、次の事項に留意し、「生徒の自殺が起きたときの調査の指針」(平成23年3月生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議)を参考とするものとする。

① 背景調査に当たり、遺族が、当該生徒を最も身近に知り、また、背景調査について切実な心情を持つことを認識し、その要望・意見を十分に聴取するとともに、できる限りの配慮と説明を行う。

② 在校生及びその保護者に対しても、できる限りの配慮と説明を行う。

③ 死亡した生徒が置かれていた状況として、いじめの疑いがあることを踏まえ、本校は、遺族に対して主体的に、在校生へのアンケート調査や一斉聴き取り調査を含む詳しい調査の実施を提案する。

④ 詳しい調査を行うに当たり、本校は、遺族に対して、調査の目的・目標、調査を行う組織の構成等、調査の概ねの期間や方法、入手した資料の取扱い、遺族に対する説明の在り方や調査結果の公表に関する方針などについて、できる限り遺族と合意しておくことが必要である。

⑤ 調査を行う組織については、弁護士、精神科医、学識経験者及び心理や福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有する者ではない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努める。

⑥ 背景調査においては、自殺が起きた後の時間の経過等に伴う制約の下で、できる限り偏りのない資料や情報を多く収集し、それらの信頼性の吟味を含めて、客観的に、特定の資料や情報にのみ依拠することなく総合的に分析評価を行う。

⑦ 客観的な事実関係の調査を迅速に進めることが必要であり、それらの事実の影響についての分析評価については、専門的知識及び経験を有する者の援助を求めることが必要であることに留意する。

⑧ 本校が調査を行う場合においては、川口市教育委員会から情報の提供について必要な指導及び支援を受ける。

⑨ 情報発信・報道対応については、プライバシーへの配慮の上、正確で一貫した情報提供が必要であり、初期の段階で情報がないからといって、トラブルや不適切な対応がなかったと決めつけることや、断片的な情報で誤解を与えることのないよう留意する。なお、亡くなった生徒の尊厳の保持や、生徒の自殺は連鎖(後追い)の可能性があることなどを踏まえ、報道の在り方に特別の注意が必要であり、WHO(世界保健機関)による自殺報道への提言を参考にする。 

また、「 I’s2019」の「Ⅱ 自殺予防対策編『資料』」も参考にする。

(キ)その他留意事項

重大事態が発生した場合に、関係のあった生徒が深く傷付き、本校全体の生徒や保護者や地域にも不安や動揺が広がったり、時には事実に基づかない風評等が流れたりする場合もある。本校は、生徒や保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援に努めるとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。

イ 調査結果の提供及び報告

(ア)いじめを受けた生徒及びその保護者に対して情報を適切に提供する責任

(学校の設置者又はその設置する学校による対処)

第28条第2項 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた生徒等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
本校は、いじめを受けた生徒やその保護者に対して、事実関係等その他の必要な情報を提供する責任を有することを踏まえ、調査により明らかになった事実関係(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景・事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなど)について、いじめを受けた生徒やその保護者に対して説明する。また、適時、適切な方法で、経過報告も行う。

これらの情報の提供に当たっては、本校は、他の生徒のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。 

ただし、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことはしない。

質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめを受けた生徒又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭に置き、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する。

また、本校が調査を行う際、川口市教育委員会から情報提供の内容・方法・時期などについて必要な指導及び支援を受ける。

(イ)調査結果の報告

調査結果については、川口市長に報告する。

上記(ア)の説明の結果を踏まえて、いじめを受けた生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた生徒又はその保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果の報告に添えて川口市長に送付する。

 

第3 その他いじめの防止等のための対策に関する重要事項

本校は、問題対策委員会において毎年度、川口市立芝西中学校基本方針にある各施策の効果を検証し、芝西中学校基本方針の見直しを検討する。検討の結果、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じる。